2018年8月14日火曜日

茂雄さんと向き合いながら

お盆ですね。茂雄さん、こっちに立ち寄ってくださっているかしら。

武蔵野市立吉祥寺美術館で開催されていた「江上茂雄:風景日記 diary/dialogue with landscapes」展が終わって1ヶ月経ちました。まだまだ余韻が続いており、売り切れていた展覧会図録が再版されたそうです。

http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/2018/05/diarydialogue-with-landscapes.html

そんな中、オンライン版の美術手帖にペインター/グラフィックデザイナーの佐藤直樹さんがすばらしい展覧会レヴューを寄稿されています。ぜひご一読ください。

https://bijutsutecho.com/magazine/review/18207

それを機にして、ツイッターでのつぶやきもまた盛り上がってきたかんじです。たとえば働き方研究家の西村佳哲さんのこのつぶやきから始まる一連のものはグッときます。

https://twitter.com/lwnish/status/1028032803923877888

また、吉祥寺美術館での展覧会でも参照くださっていた江上茂雄さんのインタビュー(全2回)は、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴの取り組みの一環として実現できました。

http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_01.php
http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_02.php

ついつい私も、5年前の展覧会図録を引っぱり出してみました。あの時にしか書けなかったテキストが綴られていました。たしかに私(竹口)が書いたテキストですが、なんだか私以外の誰かが書いたかのようなふしぎな気持ちです。

この図録も会期中に売り切れてしまいました。こちらは再版されることはありません。なので、ここに展覧会の「ごあいさつ」と、私のテキスト「土に着くこと、自己を見つめること、世界に触れること-江上茂雄さんの風景画と向き合いながら」(長い...)だけ、見開きごとに画像でアップすることにします。










この図録には、他にも一緒に展覧会をつくった梶原伸介さん(大牟田市立三池カルタ・歴史資料館館長)と徳永恵太さん(当時、田川市美術館学芸員)のテキストがそれぞれ掲載されていて、さらに茂雄さんの息子であり現代美術作家の江上計太さんのテキストと茂雄さんの唯一の画友である髙田青治さんのテキストが『江上茂雄 作品集』から再録されています。目次だけアップします。


もし「読んでみたい!」と思う方がいらしたら、私(竹口)にメールでリクエストください。メアドはkjtkgch(a)gmail.com ((a)は@に打ち換えてください)です。pfdデータをお送りいたします。




2016年2月26日金曜日

勿忘草の忌

「私の鎮魂花譜」より

2月26日、茂雄さんが旅立たれて2年が過ぎました。勿忘草の忌、三回忌です。

今日は晴れているので「あれ? 茂雄じいちゃん、心境の変化か?」なんて思ってしまいますが、ともあれ向こうでも変わらず絵を描いていらっしゃるのでしょう。見られないのだけが残念です。

この一年は、広島市現代美術館で《私の鎮魂花譜》が展示され、先日まで熊本市現代美術館で江上茂雄展が開かれるなど、よりたくさんの人に茂雄さんの絵を見てもらう機会を得ることができました。福岡で展覧会を開催してから毎年どこかでこうやって茂雄さんの絵が展示され、色あせず人の心のなかに生かされていくのは本当にうれしく、ちょっぴりふしぎで、でもきっと茂雄さんご本人が一番ふしぎがっていらっしゃるのかもしれませんね。

細々と続けているこのブログも、この1年はほとんど停滞しておりましたが、まあ先は長いですから焦らずともいいでしょう。

下の絵は、熊本市現代美術館での江上茂雄展で久しぶりにたくさんの人に見てもらうことが叶った一枚。まもなくこんな景色が広がる明るい季節が、また巡ってきます。


《菜の花畑》






2016年2月14日日曜日

江上茂雄展が熊本市現代美術館にて


2015年12月5日から2016年2月14日まで熊本市現代美術館(ギャラリーⅢ)にて江上茂雄展が開催されました。初期の水彩画から始まり、30代以降のクレパス・クレヨン画、60代からの水彩画を中心にしながら、《私の鎮魂花譜》や《私の手と心の抄》《大牟田五十景》まで、茂雄さんの多彩な画業を小規模ながら網羅的に紹介する展覧会でした。

熊本はもとより福岡からもたくさんの方が来場くださったようで、とてもうれしく思います。また無料展であったことも功を奏して、老若男女さまざまな人が茂雄さんの絵に共感を寄せてくださり、「路傍の画家」の面目躍如かと。

またいつかどこかで茂雄さんの絵を見てもらえる機会ができることを期待しつつ。










《私の鎮魂花譜》が広島市現代美術館にて


2015年7月18日(土)から9月27日(日)まで広島市現代美術館で開催された「ライフ=ワーク」展にて、茂雄さんの《私の鎮魂花譜》238枚が大きな会場にそっと、鉱物が地中に震えるように展示されました。

http://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/life-work/


2015年6月17日水曜日

茂雄さんのインタビュー公開

2014年の1月、つまり3館による江上茂雄展が終わって数か月後、そして茂雄さんが旅立たれる1ヶ月前、幸運にも茂雄さんに改めてインタビューできる機会を得ることができました。

展覧会を準備している間にもいろいろなお話を聞いたつもりでもこの時初めて聞いたことがあり、それどころか息子さんたちも聞いたことがなかったような話もあり、あるいは前にお聞きした内容とは違うところがあったりと、その意味では実に生々しい1時間半×2日でした。

とくに2回目のインタビューでは茂雄さんもお疲れの様子で、とてもたどたどしいものとなりましたが、そのたどたどしさもなるべくそのままに記録しようと文字にしています。ですのですこし読みにくいかもしれませんが、「それもまた茂雄さんらしい」とお付き合いいただければ幸いです。

http://www.oralarthistory.org/archives/egami_shigeo/interview_01.php

このインタビューは、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴのみなさんからの提案と協力により実現しました。

http://www.oralarthistory.org/

茂雄さんご自身は照れくさがって、「勘弁してください」なんておっしゃるかもしれませんが、茂雄さんの言葉をこういう形でアーカイヴしてもらえたことは、わたしたちにとってとても喜ばしいことですし、誰よりわたしにとっては、改めて茂雄さんと向かい合うことのできるかけがえのない時間をつくってもらえて、心より感謝しています。ありがとうございました。

2015年5月11日月曜日

【2015年夏】展覧会のお知らせ@広島

「私の鎮魂花譜」より

すっかりご無沙汰してしまっています。もうすっかり雪も解け、桜も散り、青葉が目にまぶしい季節になりました。

うれしいお知らせがあります。茂雄さんの作品が今年の夏、展覧会にたくさん出品されることになりました。

60歳までのクレパス・クレヨン画の制作のかたわら断続的に描きつづけられてきた「私の鎮魂花譜」シリーズが、広島市現代美術館で開催される展覧会「ライフ=ワーク」に一挙展示されます。

福岡ケンビで開催した江上茂雄展を見に来てくださった担当学芸員のM氏からラブコールをいただき、今回の運びとなりました。

広島市現代美術館では、被爆(戦後)70周年を迎えるにあたって広島の「これまで」と「これから」、そしてなによりも「今」を見つめ直すための3部作が企画されており、「ライフ=ワーク」はその第一部に位置づけられています。茂雄さん以外にも10余名のつくり手たちによる「生の結晶」が紹介されます。

また続報が届けばお知らせいたしますので、どうぞお楽しみに。

あ、ちなみに現在広島ゲンビで開催されている赤瀬川原平展もとてもおススメの展覧会ですので、お近くの方、来広の予定のある方は足を運んでみてはいかがでしょう。


広島市現代美術館

「ライフ=ワーク」展



2015年2月26日木曜日

勿忘草の忌

「私の鎮魂花譜」より


今日、2月26日は茂雄さんが旅立たれてから一周忌にあたります。勿忘草(わすれなぐさ)の忌。そんなふうに刻んでみることにしました。

このブログを遡ってみたり、作品集や展覧会図録の頁をめくったりしながら、しばし茂雄さんといっしょの時間を過ごしてもらえればうれしく思います。

「もうそんなことせんと、そっとしておいてください」と、茂雄さんは向こうで笑っていらっしゃるかもしれません。

でも今日も、ちゃんと雨が降りましたね、茂雄さん。(たけ、とく、かじ)